【2023年6月】イタリアのトスカーナ地方への小旅行、最終日には、滞在していたチェルタルドの旧市街を観光しました。
何度も使ったケーブルカー乗り場に行ったら、何やら大勢の人が集まっています。
どうやら、団体さんが皆、ケーブルカーに乗ろうとしている様子。
15分に1本、一回に30人ぐらいしか乗れないケーブルカーですから、皆さんが乗るのを待っていたら、いつになるか分かりません。
一瞬、焦りましたが、夫がぐりぐりと分け入って、切符を購入、さっさと改札したので、災難を回避できました。
チェルタルド旧市街の観光の目玉は、目抜き通りの一番奥にあるPalazzo Pretorio です。
団体さんが来る前に、まずはここから見学しました。
この宮殿は、12世紀に建てられたものだそうで、アルベルティ伯爵の領地であった旨の文書が残されているとのこと。
その後、13世紀末から14世紀初めにフィレンツェの宗教組織に没収され、以後、18世紀まで司教代理の家族の物だったそうです。
18世紀には、すっかり力が弱っていたその宗教組織が、個人に売り飛ばした後、1890年にチェルタルド市民が買い取り、修復作業に乗り出したという話です。
王家の宮殿のような華やかなものではなく、こじんまりした邸宅といった風情。
現在は現代アートの展示場として使われているほか、一時、牢獄だったという部屋が残っています。
この牢獄にあった落書きの中に、天井に煙で書いた文字というのがありました。
時間だけはたっぷりある囚人がキャンドルの煙で辛抱強く文字を描いたのです。
脇にあった案内板によると、「君は選択を間違ったね。ここに足を踏み入れたら、好きな時には出られないよ。ジャンバディアはそのことをよく知っている」といった事が書かれているそうです。
そして、ジャンバディア・ネリとのサインが。
この人はカステルフィオレンティーノに住むアーティストで、この牢獄に何度もお世話になった人だと記録に残っているそうです。
本業ではなく、牢獄での努力(?)のおかげで、後世に名を遺した人なのですねー。
それから、時計台に上って、辺りを見渡すこともできました。
すがすがしい良い天気の日で、素晴らしい眺めでした。
さらに、庭に出てみてびっくり。
何と日本の茶室があったのです。
日本の甘楽町との姉妹都市提携10周年記念に建てられたものだとのこと。
甘楽町とは、と検索したら、群馬県なのですね。
オンライン情報によると、群馬県が外国人を招いて開催したイベントがきっかけとなって結ばれた姉妹都市関係なのだそう。
それで、このお茶室は「甘楽庵」というのだそうです。
1993年に建てられたとあるので、もう30年前のことですね。
ここでお茶をたてることがあるのでしょうかー。
中世の宮殿と日本のお茶室のミスマッチが面白く、写真をたくさん撮ったところで、団体さんが追い付いてきたので、逃げるように、宮殿を後にしました。