グリニッジのカティーサークに乗ってみた

グリニッジのカティーサークに乗ってみた

【2019年8月】英国のロンドン東部、グリニッジに展示されている帆船、カティーサークに初めて乗ってみました。

と言っても、海に浮いているわけではなく、陸に上がった博物館です。

イングランド ロンドン グリニッジ カティーサーク 白いシルクハット ジョン・ウィリス 案内人 人々
白いシルクハットのジョン・ウィリスが案内人

私達は今年初めにグリニッジを訪れた時、外から見るだけで満足していたのですが、日本から来た友達が興味があるとのことだったので、これを機会に入ってみたのでした。

白いシルクハットがトレードマークだったらしいジョン・ウィリスという船主に扮した人が、この船について説明してくれるというので、まずそれを聞きに、地下へ。

カティーサークは1869年に造船された「ティー・クリッパー」と呼ばれる快速帆船で、この種の船としては最も速く、最も新しい船の一つだったとか。

ティー・クリッパーというのは、英国人が大好きなお茶をできるだけ速く中国から英国に運ぶために作られた船で、スピードが出せるよう細長い形をしていたのが特徴。

イングランド ロンドン グリニッジ カティーサーク 茶箱 船内
茶箱を模した船内の床

19世紀半ばに多数、建造されたそうです。

実際、速さを競って、競争が展開されたとのこと。

カティーサークは、宿敵のサーモピレー号と競争した際、途中まで快調だったのに途中で故障したそうで、負けたという話をこの案内人が面白おかしく話してくれました。

この船は中国から英国まで、107~122日で航海したそうです。

折しも、カティーサークが進水した日の5日前にスエズ運河が開通しました。

蒸気船はそちらを通りましたが、帆船カティーサークは風のない地中海を航海できず、アフリカ大陸を大回り。

イングランド ロンドン グリニッジ カティーサーク 船首像 馬の尻尾
馬のしっぽを握った魔女、カティーサーク

新鮮度が問われた紅茶貿易は蒸気船が主流となり、カティーサークのティー・クリッパーとしての寿命は短かったという話です。

それで、その後しばらくは、オーストラリアの羊毛貿易に使われた後、1895年にウィリスさんがポルトガルに売却。

ポルトガルが植民地との物品運送に使っていましたが、1922年に英国人の船長が買い取り、1951年からグリニッジに展示されているとのこと。

ティークリッパーとして活躍した船で現存している唯一の船だそうです。

カティーサークという船名は、ロバート・バーンズという詩人が書いた詩に登場する魔女に由来するとか。

この魔女は短い(カティー)シュミーズ(サーク)を身にまとっていたため、カティーサークというあだ名を持ち、詩の主人公のタム・オシャンターを追いかけ、タムが乗っていた馬のしっぽを引き抜いたという話。

そのため、カティーサークのオリジナルの船首像は馬のしっぽを握った魔女の姿なのだそうです。

イングランド ロンドン グリニッジ カティーサーク 外観 景色
カティーサークの外観

ところで、カティーサークというと私は火事を真っ先に思い出します

2007年5月に起こった火事で、大幅なダメージを被ったというニュースを憶えています。

出火の原因は、掃除機の電源を抜き忘れたからだったとか。

修復作業中で一般向けには閉鎖中だったし、早朝だったので、誰もいなかったのが不幸中の幸い。

巨額をつぎ込んで修復し、再公開されたのは2012年のことだったようです。