【2023年1月】スペイン西部の大学町、サラマンカから、南に下ったところにある山岳地帯、シエラ・デ・フランシアに日帰りで遠足しました。
ガイドブックに「時間に忘れられた美しい村々」があると紹介されていたところです。
私はこういった表現に弱いので、サラマンカで4泊するうちの1日、是非、この地方に行きたいと思ったのです。
観光案内所のお兄さんも熱心に薦めてくれたのでしたが、問題は足の便。
村を巡るツアーでもあれば便利なのですが、ないので、タクシーをチャーターすることにしました。
2日前の大晦日の日、タクシー乗り場で集っていた運転手たちに相談したところ、言葉があまり通じない中、一人の才覚のある運転手が他の仲間と相談して値決めなどしてくれました。
けれど、その本人は都合が悪いらしく、別のちょっとぼうっとした感じのおじさん、アグスティンが付き合ってくれることになりました。
結局、6時間で€190(3万円弱)。
以前、イタリアのサルディニア島でアルゲーロからカステルサルドまでの往復だけで€200だったことを思うと御の字でしょう。
アグスティンは確認の電話をくれた上、当日、ほぼ時間通りにホテルに迎えに来てくれました。
まずはシエラ・デ・フランシアの頂点、ラ・ペーニャ・デ・フランシアに向かいます。
道中は、緑の大地にオリーブの木、その合間に牛がいる牧歌的で平和な風景。
牛の代わりに羊や馬がいる場面も。
夫がスペインでは馬を食べるのか、アグスティンにと尋ねたら、「スペインではめったに食べない。私は好きですが」とのことでした。
しかし、肝心の豚はどうしたんだーーと夫と話していたら、「あ、あ、あ、いた~!」。
とうとう黒豚を発見。
やはり木々の合間にいました。
さらに、豚小屋が並ぶ農家もあり、結局、帰りにそこで停まってもらって、写真を撮りました。
大きい豚でした。
途中からだんだん標高が上がり、辺りの様子も変わりました。
細い幹に苔が張り付いたような木々の森に、地面は赤茶色の落ち葉で敷き詰められています。
やっとたどり着いたラ・ペーニャ・デ・フランシアは標高が1700メートルだそうです。
眼下の先の方に雲がたなびいている景色。
心が洗われるようでした。
すっごく寒かったですけれど。
アグスティンによると、夏場は観光バスも所せましと並ぶ人気のデスティネーションなのだそうです。
ここにはテレビ塔のほかに、思いがけず、修道院があり、その教会を見学しました。
山の上ですから質素な教会で、「ペーニャ・デ・フランシアの聖母」という像が祀ってあります。
その筋では良く知られた像らしく、アグスティンはかつて、信心深いフィリピン人をここに連れてきたことがあると言っていました。
彼によると、修道士が減ったため、修道院の半分が今はホテルになっているという話でした。
ところで、この素晴らしい景色を目の前にして、夫は壁にへばりついていました。
高所恐怖症が悪化したようです。
道中も何やら、熱心に携帯電話を見ていると思ったら、車が崖っぷちを通るのを見るのが怖かったのだそうです。
何か治療法はないものでしょうかーー。