【2017年7月】イタリアのシチリア島南部で過ごした夏休み、次の日はタクシーでシクリとモディカへ行きました。
運転手は前日からお付き合いしているサルバトーレ。
彼は、シクリに着いたときに、たまたま進行していたお葬式の参列者に挨拶していました。
シチリアという土地柄で生き抜くために、大っぴらには言えないような、危険で面白い体験談をたくさん持っている人のようでした。
私達のことは気に入ったようで、この土地の特産であるアーモンドミルクをごちそうしてくれました。
杏仁豆腐を濃くして液体化したようなドリンクです。
さて、シクリの町は、ユネスコの世界遺産「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」の一つで、三つの丘に囲まれています。
ラグーサと同様、バルコニーに特徴のある建物がそこここに見られました。
サルバトーレはガイドではありませんが、「スカートを履いたキリストの絵がある教会と、馬に乗ったマリア像のある教会はぜひ、見てくれ」というので、その二つを目指しました。
まずはサン・ジョヴァンニ大聖堂。
1776年に建てられた後期バロック様式の建物で、世界遺産のモニュメントの一つです。
明るい内装が良い印象ですが、面白いのは、やはり、スカートを履いたキリストの絵。
正式には「ブルゴスのキリスト受難像」というらしいですが、はりつけにされたキリストが、どう見ても女性用のペチコートのような真っ白なスカートを履いているのです。
ネットで調べてみたら、スペインのブルゴスにあるサンタ・マリア教会にある17世紀の彫像に影響を受けた絵なのだとか。
でも意味するところは分かりませんでした。
次に、白馬に乗ったマリア像があるマードレ・サン・グリエルモ教会です。
手に刀剣を持って掲げた勇ましい像でした。
なんでも、1091年、サラセン軍を打ち倒そうとしたノルマン軍を支援するために、マリア様がこの姿で人々の前に現れたという伝説があるのだそうです。
今でもこの町では、5月末に「マドンナ・ア・カヴァッロ(馬に乗ったマリア)」というお祭りがあり、この像を掲げて町を練り歩くのだとか。
ネット情報によると、お祭りの際にはリコッタチーズでできた「トルコ人の頭」というケーキを作って食べるのだそうです。
というわけで、シクリには、スカートを履いたフェミニンなキリストと、戦いを先導する男勝りのマリアがいるのでした。
そうそう、もう一つの名所は、「刑事モンタルバーノ」というイタリアの人気テレビドラマ中で、モンタルバーノが務める警視庁の本部です。
本当はこの町の町役場なんですが。
私自身は数回しか見たことのないドラマですが、シチリアのこの地方は、モンタルバーノ効果で、世界中から観光客が訪れるのだそうです。