【2021年6月】エディンバラでのワーケーション、この日は昼休みを長く取って、旧市街にあるセント・ジャイルズ大聖堂を見に行きました。
というのも、この大聖堂、ガイドブックには午後7時までオープンとあるのに、ネットで調べたら、午後2時までに短縮されていたからです。
エディンバラにはこれまで何度か訪れているのに、大聖堂は入ったことがなく、一度見てみたいと思っていました。
昼間に出掛けると、ショップが開いているせいもあって、町が賑やかです。
スコットランド社会党が旗を掲げてキャンペーンを繰り広げているのも見かけました。
なんでも「働く者のためには、スコットランドの独立が重要」なのだそうです。
独立運動、どうなるのでしょうか、興味があるところです。
さて、セント・ジャイルズ大聖堂に着きました。
私達が新型コロナのワクチンを受けたロンドンの教会とまさに同じく、入口と出口が分かれていて、マスク着用がチェックされました。
柱や天井、ステンドガラスが素敵な教会ですが、大聖堂という割にはこじんまりした印象です。
夫は「手入れがよく行き届いていて、温かい印象の教会だ」と言っていました。
ガイドブックに見落としてはいけないと書いてあった「シッスル・チャペル」は確かに豪華。
中には入れませんでしたが、複雑な天井の彫刻が印象的です。
これは1911年に作られたもので、スコットランドで最高の勲位であるシッスル騎士団のための礼拝堂なのだそうです。
ところで、このセント・ジャイルズ大聖堂は、スコットランド国教会の最高峰に位置する教会ですが、スコットランド国教会と一般に英国国教会と言われているイングランド国教会は全く違う宗派なのだそうです。
私はてっきり呼び名が違うだけかと思っていたのですが、この前日に参加した墓場ツアーのガイドのグランによると、「イングランド国教会はカトリックに近く、神と一般市民の間に教会や司教などのヒエラルキーがあるが、スコットランド国教会は神の下に人々が平等に並んでいる」のだそうです。
そもそも、このセント・ジャイルズ大聖堂の歴史は12世紀にさかのぼりますが、1559年まではカトリック教会だったそうです。
この年に、宗教改革の指導者カルヴァンに師事したジョン・ノックス牧師がここで説教をし、この大聖堂の牧師として任命されたことで、カトリックからプロテスタントの長老派教会に移行したらしいです。
その後も、イングランドとの深い確執が絡んだ複雑な紆余曲折があったようで、本を何冊も読まないとちゃんと理解できそうにないのですが、私はそこまで熱心でないので、このくらいで「ふうん~」と納得しておきます。
ただ、宗教改革についての長編小説「Q」を最近、読んだばかりだったので、ちょっと興味はあります。
一つのエピソードとしては、1637年、時の国王チャールズ1世が、イングランドの祈祷書、「聖公会祈祷書」をセント・ジャイルズ大聖堂でも使うように強要した際、ジェニー・ゲッデスという女性がスツールを牧師に投げつけ、暴動に発展したことがあったそうです。
この一件が、翌年の長老制を維持する国民盟約の締結につながったとのこと。
1992年、この投げつけられたスツールをかたどった彫刻が作られ、大聖堂内に置かれていました。
国民盟約のコピーもありました。
11年前、ツアーに乗っかって、ハイランドを旅行した際、ガイドが「スコットランドの歴史は、イングランドとの闘いの歴史」と言っていましたが、こういうところにも、それが感じられました。
そして、このスツールの彫刻が近年になって作られたという事実をみても、スコットランド人は今も、独立精神、反イングランド精神が旺盛であることがわかります。
こういう背景を鑑みても、最近の独立運動の行方は気になるところです。
私達の世代に、4つの国(country)から成るUKがUKでなくなるとしたら、ちょっと面白いですね。