【2022年9月】シチリア島の内陸の街、ラグーサ・イブラのドゥオーモ広場が終わって、4月25日通りに入ってすぐのお屋敷風のところにあったツアーの案内に目が留まりました。
このお屋敷が公開されている様子で、€6(870円ほど)と書いてあります。
夫が尋ねてみたら、英語のツアーはちょうど出たばかりだけれど、イタリア語のツアーが12時からあるとのこと。
しかも、このお屋敷だけでなく、全部で4か所巡って一人€18というコースがあるということが分かりました。
ここはひとつ、夫に通訳を頑張ってもらいましょう、ということで切符を購入。
15分ほど待った後、まずはお屋敷のお向かいにあるCircolo di Conversazione へ。
言ってみれば「会話サークル」という建物です。
こんなサークルを作らなくても、イタリア人は場所を選ばず会話のし通しだろう、と私は思いながら、ついて行きました。
平屋建てのこの建物、入ってすぐのところに、赤を基調にした豪華な部屋がありました。
ここで説明を受けます。
18人の貴族グループが1850年、おカネを出し合って設立したもので、排他的な社交クラブのようなものだったそうです。
地元の問題について、18人がそれぞれの考えを交換して事柄を決断したそうで、支配階級の意思決定の場ともいえるところです。
この豪華な部屋はボールルームで、天井には12か月を示す女性の姿が描かれ、四隅には、ダンテやガリレオなど、歴史的な偉人の顔が。
ガイドさんによると、この部屋は世界的に有名な刑事ドラマ「モンタルバーノ警部」のロケ地としても使われたのだそうです。
実は私達、この度の旅の最中、土地に親しむ目的もあって、原作のモンタルバーノ・シリーズを読み進んでいたので、何だかとても親しみを感じました。
次の間は「世論」と名付けられた小振りの部屋で、ここは新聞、書籍などの資料室。
その隣は「女性の間」。
当初は男性オンリーのサークルでしたが、時代の変遷とともに、女性の部屋が作られたとか。
そして、「発起人の一人は大の女性嫌いだったが、今は墓の中でのたうち回っているだろう。というのも現会長は女性なのです」とのこと。
つまり、このサークル、今も続いているということですね。
今は、当初ほど排他的ではないという話でしたが。
貴族の集まりでしたから、当然、召使もいるわけで、裏にはカフェがあって、呼ぶと飲み物が運ばれてきたそうです。
シチリアの貴族というと、場所は違いますが小説「山猫」を連想します。
ヴィスコンティの映画として有名ですよね。
この会話サークルが発足したのは、イタリアが統一される少し前。
きっとこの部屋で、ラグーサの貴族たちも、喧々囂々とガリバルディ軍の良し悪しを議論しあったに違いありません。