【2019年5月】今回の日本滞在中、東京銀座の歌舞伎座で、生まれて初めて歌舞伎を見ました。
日本固有の伝統芸能を今まで見たことがなかった方がおかしいのですが、まったく機会がありませんでした。
今回は歌舞伎好きの友達がいろいろ手配してくれて実現。
歴史が長く、奥の深い芸能なので、新参者の私はうん蓄は述べず、実際の体験だけ記しておこうと思います。
まず、友達が昼の部と夜の部のどちらが良いか、と尋ねてきました。
彼女が「夜の部にはこの日デビューする子役が出るから盛り上がるかも」とメールで知らせてくれたので、そちらを選びました。
次は座席です。
桟敷席が2万円、1等席が1万8000円、2等席が1万4000円といずれにしても安くありません。
せっかくの機会だから奮発しようということになり、桟敷席を目指しましたが、これは取れず、結果、2階席の前から二番目の列の1等席。
さらに、事前にお弁当の予約も彼女がしてくれました。
いくつか種類がある中、私達が選んだのは、「花かご御膳」というお弁当で、2600円でした。
これだけの手配をしてもらって、さて当日です。
歌舞伎座の前は人でごった返していました。
幸い、すぐに開場となり、待たずに入れました。
歌舞伎座に入るとまず、イヤホーンや字幕を借りる作業をします。
イヤホーンが700円、字幕は1000円ですが、イヤホーンにはデポジット1000円を払う必要があります。
プログラムがないのかな、と探したら「筋書き」という冊子が1300円で売られていて、これがプログラムだとのこと。
あまりにしっかりした冊子なので、ちょっともったいないと思い、買いませんでした。
そして、会場に入ります。
入ってみてまず驚いたのは、舞台の幅が長いこと。
花道は向かって左の方にあります。
お客さんの服装は、ばしっと着物で決めていた人がいるかと思うと、近所のスーパーに買い物に行くような姿の人もいて、まちまちでした。
演目は四つで、最初が「鶴寿千歳」。
カップルを中心に鶴の舞などを踊るもので、昭和天皇の即位にちなんで上演されたもの。
このほど、日本の元号が変わったので、これを上演したようでした。
次がこの日のハイライトで、「絵本牛若丸」。
尾上という歌舞伎一族の5歳の子供が、尾上丑之助としてデビューした作品です。
可愛らしいこの子が牛若丸で、本人の祖父や父も同じ舞台に出ていました。
5歳にしては、よくセリフを覚え、振り付けもこなしていました。
これの後がお弁当タイム。
3階にあるお食事処に用意してあり、友達の名前が大きく掲げてあるテーブルにつきました。
時間が限られるので、のんびりおしゃべりしながら、というわけにはいきませんでしたが、これも良い体験。
トイレにはずらーっと人が並んでいましたが、個室の数が多く、それほど待たずに行きつきました。
この3階の廊下には、売店が並んでいて、アジアを感じました。
食後の演目は「京鹿子娘道成寺」という踊り。
美しい若い女性が蛇になるというドラマチックな内容ですが、おなかがいっぱいになった初心者にはちょっと重たかったかな。
最後は「曽我綉侠御所染」。
これは江戸時代のドラマで筋がやや込み入ってて面白かったです。
結局、悲劇なのですが。
どの演目でも、上演の最中に、観客席から時々、声が飛びます。
それぞれの役者が所属する「〇〇屋」という屋号を叫んでいるらしかったです。
4時半から始まり、劇場を出たのは9時ごろでした。
歌舞伎好きの友達に「思っていたより、重くなかった」と感想を言ったら、「もともと大衆芸能だから」という応え。
なるほど。
彼女によると、歌舞伎はもともとは女性がやっていて、その後、若い男性も加わったけれど、あまりにセクシーになったので、お上から女性や若い男性は出てはならぬ、というお達しが出て、男だけの芸能になったのだそうです。
本当に面白い体験でした。