【2024年1月】イタリアのシチリア島、パレルモ一番の見どころであるノルマン王宮、パラッツォ・レアーレを訪れました。
チケットが一人€19 (およそ3200円)もするので、一瞬、ひるみますが、ここは払うだけの価値があります。
なぜかというと、モーパッサンが「人類が夢見た最も美しい宗教的な宝石」と表現したと言われるパラティーナ礼拝堂があるからです。
入ったとたん、文字通り目がくらむ絢爛豪華さ。
一番、スゴイのはやはり、部屋中を埋め尽くすキンキラキンのモザイクでしょう。
ガイドブックによると、この礼拝堂は1130年にルッジェーロ2世が初代シチリア王として戴冠されたのを記念して建て始めたもので、13年かけて完成させたとのこと。
ヨーロッパ、シチリア、ビザンチン、アラブの芸術・建築様式が盛り込まれているそうです。
モザイクは、王が招いたビザンチンのギリシャ人の職人によるものだとか。
ガイドブックには「これを見るだけでもパレルモを訪れる価値がある」と書かれていますが、確かにそうかも。
どうしてもモザイクに目を取られるのですが、天井や床も素晴らしいので、しっかり見ましょう。
木製の天井は、ムカルナスというイスラム様式で、これがキリスト教会に使われているのは非常に珍しいそうです。
これのせいで、ルッジェーロ2世は実はイスラム教徒だったのではないか、とさえ言われていると書いてあります。
確かに、ハチの巣のような細かいパターンが繰り返されているこの様式はイランのイスファハーンなど、イスラム世界の宮殿などで見かけた覚えがあります。
でなければ、スペインのアルハンブラ宮殿かな。
床の方は、数日前に見たサン・カタルド教会の床に似ていました。
ガイドブックによると、なんと、ここで結婚式ができるとのこと。
結婚しなおそうかと思いました。
この礼拝堂があるノルマン宮殿は、もともとはフェニキア人やローマ人の砦だったところで、ノルマン人が修復し、大改装したとのこと。
ただ、1250年にフレデリック2世が死去した後、衰退していたところを、スペインの総督が改装して住んだという歴史があり、今ある姿の大部分は改装後のものだそうです。
ノルマン時代の姿が残っているのが、パラティーナ礼拝堂のほか、ルッジェーロ2世の寝室。
ルッジェーロ2世の寝室は、礼拝堂ほどではないけれど、やはり美しいモザイクが一面に張り巡らされていました。
こちらは、狩りの様子を描いたモザイク。
ライオンがいたりして、かなりエキゾチックな柄です。
それから素敵だったのが、風の間。
18世紀のものだという木の天井が印象的でした。
ところで、この王宮の主だったルッジェーロ2世ですが、英語の表記では、ロジャー。
ロジャーだなんて、なんだかとても軽い名前の王様ですね。