2時からのウォーキングツアー

2時からのウォーキングツアー

【2017年3月】ロンドンから日帰りで行った英国南部の歴史的な町、ウィンチェスターを歩き回るために、まず、地図がほしかったので、旅行案内所へ行きました。

すると、地図をくれた係の人が「二時からウォーキングツアーがありますがいかがですか?」と誘ってくれました。

二時までにはあと5分。

費用は一人£5(約720円)と安かったし、迷わず参加を決めました。

ガイドさんはジュディスという女性で、イングランド北部のヨークの出身だと言っていました。

彼女はまず、10人ほどの参加者を大きな像が見える公園へ連れて行き、町の成り立ちの説明から始めました。

ウィンチェスターの先住民は、ローマ人を平和裏に受け入れ、ローマ人がこの土地一帯に支流を広げていたイッチェン川を埋め立て、流れを今ある一か所にまとめたそうです。

公園から見える像は、ローマ人が去った後、ここを統治してバイキングを打ち負かしたアルフレッド王

像そのものは、王様が亡くなって1000年記念の1901に建てられたのだそうですが、定位置に収めるために、重い像を動かす手段として砂糖を使ったとか。

後に砂糖が固まり、蜂がぶんぶん飛んでくる中、これを除去するのに一苦労だったそうです。

そういう、トリヴィアが聞けるのがツアーの醍醐味ですよね。

それからイッチェン川のほとりの遊歩道へ移動しました。

この辺の土地はチョーク質だそうで、チョークの周りから出るフリントが建築材として使われているとのこと。

10世紀ごろ、ウィンチェスター主教は広大な教区と莫大な権力を持っていたそうですが、その後ろ盾となる財力は、物品を取引する市場を市の近辺の丘の上の一か所だけに絞り、その使用料で得ていたとか。

当時、ロンドンを流れるテムズ川の南岸から、南海岸までが教区だったそうです。

ウィンチェスターには1387年創立の名門パブリックスクール、ウィンチェスター・カレッジがあります。

これは、1348~51年に猛威を振るった黒死病で多くの人ばかりでなく、技術が失われたことを憂えた当時の主教が、教育の必要性を感じて立ち上げたのだそうです。

現在も男子校ですが、有名なイートン校やハロー校のような可愛らしい制服はないとのこと。

ここに入るための予備校、ピルグリム校の8~13歳の学童が、カレッジ内のチャペルや大聖堂の聖歌隊メンバーになるそうです。

そして面白いことに、制服の色が、カレッジで歌う子、大聖堂で歌う子、歌わない子の三つに分かれているとか。

そうそう、作家のジェーン・オースティンについての話も聞きました。

彼女は元来、この町には住んでいませんでしたが、病気になってから妹のカッサンドラと共に、移り住んだそうです。

彼女が最後の6週間を過ごした終の棲家を見ました。

1817年に亡くなったそうですが、病名はいまだにはっきりしていないとか。

アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)とも言われているようですが。

遺体は大聖堂に埋められているそうです。

まだまだいろいろ、情報盛りだくさんの1時間半に渡るツアー、花盛りの中、とても気持ち良い散歩でした。