【2009年12月】ポルトガル第2の都市、ポルトへの旅は、ロンドンのヒースロー空港での前泊から始まりました。
というのも、翌朝のフライトが早朝の6時40分発だったからです。
この空港に付随したホテルが、まさに未来空間。
サイモン・ウッドロフという事業家が仕掛けた豪華なカプセルホテルで、名前はYotel。
英国では定着しているなんちゃって回転寿司のチェーン店Yosushiも、この同じ人が始めた事業です。
もともとコンサートの演出家だったこの人が、日本公演で日本の現代カルチャーに魅せられ、それを英国の風土に合うようデフォルメして展開し始めて大成功を遂げたーーという話を、その昔、本人に会って聞いたのでした。
このYotel、薄ピンク色の照明の下、ベッドや洗面所ほか必要なもの、およびそれ以上のものがすべてコンパクトにまとまっていて、なかなか過ごしやすかったです。
とても面白い体験でした。
翌朝、余裕を持ってターミナルへ行けたのも強みでした。
そんなフューチャリスティックな空間から飛んできたポルトは徹底的な過去の町。
雨の中、空港からお年寄りばかりが乗り降りするローカルバスに乗って市内へ。
道中、繰り返された「プロクシマ・パラジェム」というフレーズが今でも耳に残っています。
「次の停留所は」という意味で、オブリガーダ(ありがとう)の次に覚えたポルトガル語となりました。
市内に入ってくると、どうみても改装が必要だと思われる朽ち果てた建物が少なくとも二割は占めているように見えました。
雨で湿った中、じーっと我慢して地味に生活しているお年寄りの姿のようで、歴史を感じさせる味わいがあります。
町の中心のバス停からホテルまで雨の中を歩きました(旅のメモの不備で、ホテル名は不明)。
まだ朝早くて、ホテルにチェックインできず、荷物だけ置かせてもらって、とりあえず、町の中央に向かおうとしたのですが、どうも道を間違えたらしく、地味な路地に入り込みました。
朝食を食べていなかったので、いかにも地元のパン屋でお菓子を朝食代わりにしました。
外国人観光客がめったにくることがないらしく、おばさんがとても親切。
そして非常に安価。
特においしいものという記憶はないですけれど。
それからは、いつものように、目的なく町をうろうろし続けました。
青緑系のタイルを張った壁や、凝った窓枠が面白く、悪天候ながら、飽きずに写真を撮りながら歩きました。
お昼に入ったレストランが大正解。
外観だけで選んだ店でしたが、とってもローカルな雰囲気で、地元民でにぎわっています。
食べたのはシンプルなグリル・ポークでおいしかったです。
夫はソーセージ。
おかしいのは、お昼だからメインだけ頼んだのに、ウエイターのおじさんがサラミやチーズをスライスした盛り合わせを持ってきて「食べなくてもいいけど、よかったら食べて。食べたら払ってね」と置いていくのです。
そんな美味しそうなのを目の前に置かれたら、誰だって食べちゃいますよねーー。
この店独特のやり方かと思ったら、その後、別の店でも同じ体験をしたので、どうやらポルト、あるいはポルトガル全体のしきたりなのかも。
そして、その前菜を含めて大満足したのに、お会計は二人で€28ほどと、非常にリーズナブルでした。