【2010年8月】スコットランドのハイランドを巡るバスツアー、3日目のハイライトはグレンコーでした。
この日はとうとう運が尽きて、雨。
なので視界はいまいちでしたが、グレンコーの雄大さはよくわかりました。
グレンコーのグレンというのは、スコットランド語で渓谷の意味。
雨が降ったり止んだりする中、この大自然の中をしばらく歩きました。
写真は撮りましたが、この雄大さはカメラに収まりきりません。
でも、ここが凄いのは、美しい自然だけではありません。
グレンコーにはむごい歴史があるのです。
ガイドのマイケルが詳細に話してくれたのですが、かいつまむと:17世紀の終わり、この地方のクラン(氏族)のマクドナルド一族は、イングランドの王ウィリアムへの忠誠を誓う書類を提出するのが遅れました。
でも地方の役場にはひとまず提出を済ませたので、これで安心、と思い込んでいました。
そこへ長年敵対しているクラン、キャンベル一族の軍隊がこの辺りに駐屯します。
ハイランドのしきたりにのっとって、ここの一般市民は兵隊たちをねぎらい、2週間に渡って歓待しました。
兵隊たち自身、なぜ、ここに駐屯しているのか知らなかったのだそうです。
そんな中、先の書類提出の遅れを理由に、マクドナルド一族を皆殺しにせよという命令が、キャンベルの軍隊に届きました。
命令に逆らうことなく、キャンベル軍はある朝、マクドナルド一族の寝首を掻いたのだそうです。
いやな話ですね。
それで、300年以上たった今でも、グレンコーが話題に上ると、スコットランドの人々は「あそこではひどいことがあったよねー」と最近のことのように話すのだそうです。
そして、付近のパブでは「キャンベルさんはお断り」と張り紙が出ているとか。
キャンベル一族は、今回の旅の初日に訪れたキルチャーン城やインヴェラレイ辺りのアーガイル州が本拠。
そういえば、うちでたまにデリバリーを頼むスコットランドの肉屋さんもキャンベルでしたっけ。
グレンコーに来る前、雨の中、ストーカー城を眺めました。
この城はロッホ・リックという湾にある島に建てられた城で、14世紀からの歴史があるそうです。
もともとは別の氏族の城でしたが、ここも17世紀にはキャンベル一族の傘下に入ったとのこと。
キャンベル家はずいぶんと勢力のあるクランだったのですねー。
雨の中、ぼんやりとシルエットを見せるストーカー城には独特のオーラが感じられ、きっとここでも幾多の血なまぐさい事件があったのだろうなあと想像できました。