【2021年12月】ポルトガルのリスボンを走る28番のトラムの終点、Martim Moniz から、行きたいと思っていたサン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院が歩いて15分の距離だと判明。
私達は、旅行中はよく歩きます。
携帯の地図を頼りに歩き始めてすぐに遭遇したのが、長いエスカレーター。
起伏の激しいポルトガルの町では、ケーブルカーやエレベーターに加え、屋外エスカレーターもあるのです。
長いエスカレーターが2本連なっている通りだったのですが、1本は動いていませんでした。
隣の階段を上った次第。
上り切った後は、下り坂。
こんな起伏の多いところに生まれた人は、町というものを常に立体的に感じ取るようになるのでしょうね。
この辺りは、移民が多い地区のようで、色黒の人々がたむろしている一角が。
地図によると、その人々がいるところの道を通るのが近道のようでしたが、カメラをぶら下げた無垢な観光客である我々が通ると、事件を引き起こしそうな予感がしたので、そこのところは迂回しました。
そして、再度上り坂となり、ようやく目的のサン・ヴィセンテ・デ・フォーラ修道院に到着。
5ユーロを払って入ります。
もらったパンフレットによると、この修道院は、ポルトガルの初代国王、アフォンソ1世が、「イスラム勢力からリスボンを取り戻せたら聖ヴィセンテに捧げた修道院を作る」と約束した結果、建てられたもので、1147年からの歴史があるそうです。
名前の中の「デ・フォーラ」は、「外に」という意味だそうで、当時の城壁の外側に建てられたとのこと。
その後、1580年代に大改装され、ポルトガルのマヌエル様式の最初の主要建築物となりました。
けれど、今見られる大理石やタイルの装飾の多くは、17~18世紀のものだそうです。
入ってまず面白かったのは、雨水をためておく地下の貯水池。
今も水が溜まっていて、冒険心をそそる趣です。
一部は、この修道院が建てられた12世紀当時のものだそうです。
それから、大理石のはめ込み細工が美しい玄関ホール、堂々とした回廊などへ。
そして私達が見落としそうになった聖具保管室は、絶対見落としてはいけないカラフルでとても美しい空間でした。
ポルトガル王家、ブラガンサ家の霊廟は薄暗くて霊気が漂う雰囲気。
ここに死を悲しむ女性像があって、美しくはあるのですが、何やら空恐ろしいほどの情念が感じられました。
階段や廊下には、アズレージョがふんだんに施されていて、重厚でリッチな雰囲気です。
そういった所を通って、教会の塔へ上りました。
午後5時前でしたが、そろそろサンセット。
天気がイマイチの日で、控えめな夕焼けが見えました。
なかなか見甲斐のある修道院に満足して外に出たら、もうとっぷり暮れていました。