人口: 約370万人

面積: 22,990平方km

行政区: 10県

イタリア中部北側に位置するトスカーナ州は、かの有名な花の都・フィレンツェを筆頭に、文化遺産や自然景観に恵まれた美しい地方です。

およそ10県の都市からなるこの地方は、魅力的な古都とユネスコ世界遺産の数が極めて多いのが特徴。

このため、古くから多くの貴族や富豪、文化人たちが保養地としてトスカーナの丘陵を好んできました。

また、キャンティ、スーペルトスカーナといったワイン、オリーブオイルを生かした郷土料理はまさに絶品と言われており、多くの美食家を虜にしています。

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トスカーナの観光名所

主に11世紀から16世紀にかけての文化遺産が数多く残されているトスカーナ。

一日二日で回りきれるものではありませんが、この地方を短期で楽しむには、時代を定める、或いは好みの芸術家や分野に絞るなどテーマを決めるのが良いかもしれません。

また歴史や文化以外にも、服飾から金銀細工など幅広いファッション、起伏に富む豊かな自然など、様々な魅力に溢れています。

ピサ

トスカーナ州北部に位置するピサは、ピサ様式と呼ばれるロマネスクの美しい建築が並ぶ町。

そしてこの町を代表するのが、やはり世界的に有名な「ピサの斜塔」。

観光の目玉であるこの鐘楼があるドゥオーモ広場には、その他にも大聖堂、洗礼堂、墓地など美しい中世の建物が建ち並んでいます。

科学者ガリレオ・ガリレイや数学者フィボナッチの生誕地としても知られ、古くから大学都市として栄えています。

シエナ

フィレンツェから南におよそ60km、中世そのままの街並みが残る古都シエナ

12世紀から15世紀にかけて建てられたゴシック風の旧市街は、その全体が世界遺産に指定されています。

毎年7月と8月には、世界的に有名な競馬・パリオPalio)が、この町のシンボルである「カンポ広場」で開催されます。

サン・ジミニャーノ

美しい塔の町、サン・ジミニャーノは中世の雰囲気が色濃く残る、コンパクトな街です。

有力貴族の権力の象徴であった塔はかつて70本以上あったと言われ、現在も14の塔が残っています。

その中でも一番の高さを誇る「グロッサの塔」には登ることもでき、200段ほどの階段を登ると、美しいトスカーナの丘陵地帯を一望することができます。

また、この地はイタリアでも有数のワインの産地としても知られているので、訪れたらぜひ最上級ランクの白ワインを味わってみてはいかがでしょうか。

アレッツォ

イタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」の舞台になったことでも有名なアレッツォは、城壁に囲まれた美しい街。

一時はフィレンツェと並ぶほどの重要都市として栄えましたが、現在は主に金細工とアンティーク市で知られる街となっています。

一番の見どころは、画家フランチェスカによる貴重なフレスコ画「聖十字架の伝説」が残るサン・フランチェスコ聖堂

また、毎月第一日曜日には、街の中心グランデ広場を中心に町中が市場と化する大規模なアンティーク市場が開かれ、骨董好きには見逃せません。

トスカーナの気候

トスカーナ州はイタリアの中でも面積が広く、地域によって気候が大きく異なります

例えば、南西部沿岸のマレンマ地方は平均温度が年間を通し16度で、比較的寒暖の差が小さいことで知られています。

一方で、内陸の平野部や丘陵地帯では夏の間気温が40度近くまで上がることもあり、冬は氷点下まで下がります。

降雨量に関しても、州北部のアペニン山脈付近、沿岸部、丘陵地帯によってだいぶ差があります。

そのため、トスカーナ州の中でもどの地方に訪れるかによって、事前の天候のチェックは必須といえるでしょう。

トスカーナの歴史

トスカーナの歴史は紀元前8世紀、エトルリア人が多く住んでいた時代まで遡ることができ、その文化の形跡を今も見ることができます。

古代ローマに吸収された後、中世を経て、この地方が政治的、文化的に重要な位置を占めるのは、ルネサンス期の都市国家時代です。

メディチ家が権力を欲しいままにしたフィレンツェやシエナ、ピサ、ルッカなどがその代表として知られています。

この時代には、独自の文化芸術を磨いていく裏で、農産物の生産や交易によって経済的な面でも繁栄を極めていきます。

その甲斐あって、メディチ家が君臨するトスカーナ州はルネサンスを代表するイタリア芸術の土台としてその立場を築き上げていったのです。

現在は観光面以外にも、キャンティやスーペルトスカーナを産み出すワインの名醸地として世界中から人気を集めています。