【1999年5月】イラン西部の町、ハマダーンから日帰りで、ケルマンシャーへ行きました。
ケルマンシャーはイラクと国境を接する州の州都で、住民の大半がクルド人です。
そして、ここもまた、絨毯の産地として有名です。
なので、何かしら絨毯織りに関連したものが見られるかと期待していたのですが、行ったのは遺跡。
ターゲボスターンという遺跡で、ササン朝ペルシャのレリーフが残っています。
ササン朝ペルシャはゾロアスター教を信奉していましたので、主神であるアフラ・マズダも彫られていました。
ここには日本の団体さんも訪れるとかで、物売りの少年たちが「どこの国ですか」と日本語で寄ってきました。
まあ、歴史的に非常に重要で、貴重な遺跡だとはわかるのですが、何せ私は絨毯一筋だったので、あまり気乗りがしませんでした。
その後、別の遺跡へ移動の途中、川べりで羊毛を洗っている人々が見えました。
それで、遺跡を一つやめて、そこに停車。
予定を自由に変更できるのが個人旅行の良い点です。
数人の女性と子供たちがいて、皆、人懐こくて良い感じでした。
最初は恥ずかしそうにしてみせますが、そのうちに、一番小さい子が私のカメラの前に立ちはだかってしまったほど。
一緒に写真を撮ったりして、楽しいひと時を過ごしました。
一番年長で、金歯が輝くおばさんが、そこらにいた12人が全部、自分の子供だと胸を張ってみせました。
この辺りでは、子だくさんが女性の誇りのようです。
北部の温泉で会った女性もそうでした。
この金歯のおばさんが、家に来いと誘ってくれましたが、過密スケジュールだったため、残念でしたがお断りして先へ進みました。
途中の茶屋で、スイカを食べました。
イランのスイカは、本当に甘くて美味しいです。
実はスイカはそれほど好きな果物ではないのですが、ここではすっかり虜になってしまいました。
その後、ハマダーン郊外にあるガンジナメーを見学。
これは、アケメネス朝ペルシャ時代の紀元前5世紀の碑文で、クサビ形文字が刻まれていました。
そこからの帰り、丘の上にテントが並んでいるのが見えると、ガイドが「遊牧民のテントだ」というので、そこを訪れることに。
今回の旅は個人的に、遊牧民の織る絨毯に的を絞ったものですから。
行ってみたら、クルド人の遊牧民の家族が、ちょうど、牛の皮の中にミルクを入れて、それを揺すってバターを作っているところでした。
これまたフレンドリーな女の子達がすぐに、私にもバター作りをやってみろ、と誘います。
ちょっと試してやめようとすると、「もっともっと」と催促。
たぶん15歳ぐらいの女の子を先頭に4~5人の子供たちでしたが、その力の強いこと!
そして、並んでバター作りをやった時に見た彼女らの手は、すでに働く人々の手でした。
一番、強い子の目は薄緑色。
イラン人とかトルコ人とか、外で働く人が多く、男性の場合、髭が濃いこともあって色が黒く、有色人種のように感じますが、実際のところ、白人なんですね、基本。
羊のミルクに水を加えたという飲み物を出され、正直なところ、必死な思いで飲んだ後、水はあそこで保存されていると指さされた先が羊だか牛だか獣の皮の袋だったので、のけぞりました。
幸い、お腹は壊しませんでしたが。
そして、何度も手を振ってテントを後にしました。