【1996年9月】中国のトルファンでは、ホテル探しの時に乗ったロバ車の御者がやっていた星空ツアーに参加することにしました。
出発は午後9時です。
それまでに時間があったので、8時前に外に出てみたら、ストリートフードの夜市ができていました。
昼間に食べられなかったシシケバブをここで堪能。
1本2元(当時、1元=約13円)です。
これは噂通りのおいしさ。
この市場を歩き回り、魚のフライの串刺し(1元)も試してみましたが、これもなかなかいけます。
ここは活気があって、なかなか楽しい雰囲気です。
地元の人も夕食はここですませる人が多いようで、出ているテーブルも人々で賑わっていました。
さて、星空ツアーが始まりました。
この御者は日本語を勉強中で、日本語の先生から「山本一夫」と名付けられたといいます。
そのせいで、客は皆、日本人。
女の子2人と若者が1人。
街頭のない暗い夜道をガタンゴトンとゆっくり進むのですが、女の子たちが「まるで、ドナドナの世界だね」と言っていました。
電気の付いた民家を覗き覗き行きましたが、多くの人々がベッドを戸外に出していました。
御者の「山本さん」が言うには、目的地は「病院砂漠」。
なかなかたどり着かなかったのですが、その間、この山本さんが日本語でしゃべりまくります。
この仕事を6年していて、今、20歳だと言います。
14歳の時から始めたということでしょうか。
日本人のお嫁さんが欲しいのだそうです。
そして「お金がないから誰も来ないのかと思って、お金を貯めている」とか「毎日、日本人を案内するけど、みんな、すぐ去っていく」とか、一生懸命、話していました。
道中、星空がきれいに見えていましたが、11時半ごろ砂漠にようやく着いた時には少し雲が出ていました。
真っ暗なので、周りの地形はよくわかりませんでしたが、とにかく何もない場所に毛布を敷き、そこでしばらく空を見上げました。
流れ星を見つける度に、人々が声を上げます。
私は見逃してばかり。
流れ星を見た数が、将来持つ子供の数だと「山本さん」。
なるほどねえ、と思っていたら、帰りに一つだけ、生まれて初めて流れ星を見ました。
願をかける暇もありません。
途中で「山本さん」だけ一人でぐうぐう眠っていたのがおかしかったです。
というわけで、面白い体験イベントでしたが、トルファンの町に帰り着いたのは午前3時。
なんと、ホテルの門が閉ざされていました。
見張り役らしい人は、星空の下、門内に置いてあるベッドでぐっすり眠っています。
仕方なく、私達は門をよじ登って乗り越えました。
建物自体のドアは鍵がかかっていなくて、ほっ。
次の難関は部屋のドアでしたが、係の人を起こして開けてもらいました。
この人が嫌な顔をするどころか、笑顔を見せたので驚きました。