リスボンの世界遺産、ジェロニモス修道院へ

リスボンの世界遺産、ジェロニモス修道院へ

【2019年2月】今回のポルトガルのリスボンでの滞在、最後の日には、一度行きたいと思っていた世界遺産のジェロニモス修道院を目指しました。

この修道院は、リスボンの中心地から西へ6キロほど行ったベレン地区にあります。

リスボンの世界遺産、ジェロニモス修道院のディテール
装飾が美しいジェロニモス修道院

ベレン地区はポルトガルの最盛期、大航海時代を記念する「発見のモニュメント」やテージョ川の航行を監視するベレンの塔があるところで、以前にも何回か行ったことがありましたが、ジェロニモス修道院には入る機会がありませんでした。

巨大な白い建物なので、まず、見落とすことはありません。

ここで入手したパンフレットによると、この修道院は15世紀末から16世紀初めの国王、マヌエル1世の命によって建設されたもので、1501年1月6日に着工されたとのこと。

この場所は、大航海時代の重要人物であるエンリケ航海王子が、船乗りの安全を祈願してキリスト騎士団に寄贈した礼拝堂の跡地だそうです。

建設の目的はエンリケ王子の先駆的偉業を思い出させることに加え、アヴィス・ベ―ジャ家という王朝の新しい家系を賛美すること。

ということは、通常の修道院と異なり、世俗を離れた修道士たちが祈りの生活を送る場として作られたのではないということですね。

王廟が重要な位置を占め、その管理者として4~5世紀の神学者ヒエロニムスを崇める聖ヒエロニムス修道会が選ばれました。

リスボンの世界遺産、ジェロニモス修道院の見事な彫刻
複雑な彫刻に注目

ジェロニモスという名前はこのヒエロニムスから来ているとのこと。

この修道院、当初は8年で完成する予定でしたが、どんどん規模が大きくなり、結果的に完成には100年を要しました

規模は、ポルトガルがこの時期、豊かになって行ったのと比例します。

アフリカ貿易や中東貿易による利益の5%が「胡椒税」として納められたそうで、これが建設の資金に充てられたのだそうです。

さて、そんな背景を持つこの修道院に着くと、列が二手に分かれていました。

一つは教会堂への列、もう一つは回廊への列です。

教会堂へは無料で入れることが分かったので、まずはそちらへ。

建物に向かって左側にある入口から入るのですが、そこではなく、南入口と呼ばれる入口の彫刻の見事さに目が留まります。

この修道院は、15~16世紀のポルトガルで広まったマヌエル様式と言われる建築様式の傑作なのだそうで、この入口の装飾もその特徴の一つ。

パンフレットによると、上部に大天使ミカエル、中心部にイエスを抱く聖母マリア、その周りに様々な聖像が描かれているそうです。

リスボンの世界遺産、ジェロニモス修道院内のバスコダガマ
ジェロニモス修道院の教会にあるバスコダガマの棺

中に入ると、二つの棺が目を引きます。

一つは、中学校の世界史でお馴染みの、喜望峰を通ってインドへ行ったヴァスコ・ダ・ガマの棺。

もう一つは、ユーラシア大陸最西端のロカ岬に言葉が刻まれている詩人のルイス・デ・カモンイスの棺です。

主礼拝堂は1572年、マヌエル様式だった初期の礼拝堂を建て直して作られたもので、ここにマヌエル王と妃や、マヌエルの息子のジョアン3世と妃が安置されています。

ジェロニモス修道院の教会内の聖具室の柱と天井
聖具室の美しい柱と天井

主礼拝堂に向かって左の奥の方は聖具室で、ここには€1・50払って入ります。

中央にあるエレガントな柱はルネサンス様式なのだそうで、これがこの部屋の一番の見もの。

壁に沿って棚があり、現在も祭服が保管されているとか。

周りの絵画は、17世紀に描かれたもので、聖ヒエロニムスの生涯を表しているのだそうです。