【2021年11月】スペインのアンダルシア地方の州都、セビリアで1日を過ごしたこの日、はるばる歩いて、Plaza de la Encarnacion へやってきました。
ここには何とも奇妙な建造物があります。
Las Setas (キノコ)と呼ばれるモノで、世界最大の木造の建造物なのだとか。
ガイドブックによると、中に市場やレストラン、さらにはローマ時代の遺跡が組み入れられているそうです。
なかなか説明しにくいのですが、コンクリートの柱の上に、木製のワッフルのような天井が乗っかっているもので、その上を人々が歩ける通路があります。
高さが30メートルほどあり、上ると、背が高い人なら町が見渡せます(入場料は5ユーロ)。
私は小柄なので、通路の手すりが邪魔して、いまいち、見晴らしは良くありませんでしたが。
途中にあった案内板によると、1248年にイスラム勢力からこの地を取り戻した後、貴族の館が並ぶ高級住宅街だったこの一角に、1591年に修道院を建てました。
ところが、1810年、ナポレオン軍がこの修道院を破壊してしまいました。
その跡地に1842年、この町で初めての食品市場を建てたそうです。
1973年、市場の建物に構造的な問題が起こって取り壊し、市場は近所に移りました。
その後、何と37年間もこの地は柵で囲まれ、荒地になっていたとのこと。
2003年になって、市が国際コンペを開催し、ドイツ人建築家、ユルゲン・マイヤーさんのこの作品が選ばれたそうです。
一般公開されたのは2011年のこと。
公式名は「メトロポール・パラソル」だったそうですが、この名前は2日ともたず、市民が呼び始めた「キノコ」の名称が根付いたという話です。
それにしても、おかしな建物です。
それだけ見ていると、現代建築として面白みもわかるのですが、あまりにも唐突で、周囲と全く融合していません。
これもそのうち老朽化して、先の修道院や食品市場の例に倣って取り壊される運命なんだろうな、と思う半面、パリの象徴ともいえるエッフェル塔も建築当初はすごい批判を浴びたという話ですから、数十年後には、セビリアの象徴などと言われているかもしれません。
上りはエレベーターでしたが、下りる時には、この構造の内部にもぐって階段を下りてくる形でした。
内部の様子が結構、面白かったです。
ところで、ここに辿り着くまでの道中に、古色蒼然としたお菓子屋さんがありました。
La Campana という名前で、1885年からの歴史があるようです。
ここに入って一休みしたかったのですが、基本、小売店なので、腰かけられるスペースは限られていて、満員だったので諦めました。
次回、忘れずに訪れたいものです。