【2021年12月】ポルトガルでは「ブラガは祈り、コインブラは学び、ポルトは働き、リスボンは遊ぶ」と言われているというのは、今回のツアーのガイドさん、クラウディアから習ったことの一つです。
その祈りの町、ブラガにはたくさんの教会があるのですが、その中でも最も重要なのが、次に私達が訪れた大聖堂です。
ポルトガル最古の教会で、その歴史は11世紀にさかのぼるそうです。
入ってすぐ、紀元65年からの名前が連なる大司教の名簿を見ました。
最初に入った聖堂には、珍しく神の姿が描かれているチャペルがありました。
通常、キリストや聖母マリアが正面のてっぺんに描かれているものですが、このチャペルは、十字架にかけられたキリストを支える黒ひげの男性が描かれていて、神だと考えられているとのこと。
私がイメージする神様より、こわもてで若々しい感じでした。
お祭りの行列の時に運ぶという、生々しく現実的なキリスト像もこの教会の中にありました。
ここから回廊に出ると、いくつか像が並んでいるのですが、その中で目立ったのは、授乳の聖母像。
ずいぶんと不細工な母子像でした。
クラウディアによると、授乳の様子をそのまま描くのはためらわれたので、キリストが聖母の胸に手を置いている形で、授乳の聖母であることを示したものなのだそうです。
なぜ不細工かの説明はありませんでした。
それから、主聖堂へ。
いろいろな時代に、それぞれの物が付け加えられているそうで、最近加えられたというステンドガラスも。
脇に並ぶ像は、石造りに見えるけれど、オークでできているとのこと。
後部には王家の子供のお墓があります。
有名なエンリケ航海王子の兄に当たる人だとか。
顔は銀、金に見える部分は銅でできているという話でした。
そういった物も素晴らしいのですが、ここで一番、目を引くのは、後ろの方にあるオルガンです。
何しろ、煌びやかで豪華。
ブラジルのものなのだそうです。
オルガンのパイプに囲まれた天井部分には、マリアとヨセフの結婚式が描かれています。
ユダヤ人だった彼らが、キリスト教の結婚式を挙げたはずはないので、これは想像のたまものだと、クラウディアが指摘していました。
とにかく重厚な大聖堂でした。
ここから外の青空の下に出たら、正直、ほっとしました。
そうそう、入口付近の土産物店でカラフルなハンカチが売られていました。
これは伝統的に、この地方の女性が作る刺繍のハンカチで、意中の人に贈るものなのだそうです。
贈った相手に断られた場合は、次の人を見つけて、また作り直すとのこと。
「使い回しはいけません」とクラウディアが言っていました。