【1996年9月】中国の新疆ウイグル自治区西部の町、カシュガルでの三日目は、レンタサイクルをして、アパク・ホージャー廟に行ってみました。
細長い木が立ち並ぶ長いスロープを馬車やロバ車、バイクやバスをよけながら、あえぎあえぎ漕ぎました。
廟は、カシュガルの町の中心から5キロぐらい離れたところにあります。
アパク・ホージャーというのは、17世紀初め、この地方にスフィズムを広めたムハンマド・ユスフの息子で、宗教だけでなく、政治でも力を持った人だとのこと。
その孫の香妃という女性も有名なため、廟は香妃墓とも呼ばれているところです。
ようやく着いた廟の、タイルが美しいという主要の建物が大修復中でがっかり。
それでも結構、写真を撮って帰途につきました。
帰りの道中、高台に土でできた家々がくっつきあってかたまっている眺めが目に付きました。
干している絨毯が唯一の色で、あとはすっかりベージュ。
でも開いている門の中を覗くと、植木鉢が並んでいたりして、生活を楽しんでいる様子がうかがえました。
サイクリングの後は、またバザールへ。
長い中国の旅も大詰めで、持っていた元をできるだけ使おうというわけです。
お土産用に面白い形の楽器とバッグを、200元(当時、1元=約13円)で買いました。
それから、大衆食堂に入って、シシケバブ。
この日のケバブは肉がしっかりしていて食べ甲斐がありました。
その後、道端の屋台で、美味しいメロンの切り身(1元)や、黄色いイチジク(3つで1元)のデザート。
フルーツはどれをとっても、本当に美味しいです。
前日、買えなかった絨毯類に後ろ髪が引かれていたので、高い絹は諦め、ウールのラグを買うことに。
再度、いろいろ見た末、ある店で言い値が750元の赤いトルクメン絨毯柄のラグに狙いを定め、値段交渉に入りました。
計算機に数字を入れながらの交渉です。
おじさんは600元で手を打ちたかったようですが、少し粘って、580元まで下がったところで買いました。
買った物が嬉しいだけでなく、交渉そのものが楽しく、良い思い出です。
バザールでは、ウルムチでも少し見かけた、厚手の茶色いスカーフを頭からすっぽり被った女性をたくさん見かけました。
本当に前が見えているのだろうか、と試しに近づいてくる人をよけないで、じっと立っていたら、その人は私の目の前ぎりぎりまで来て、私をよけました。
やっぱり、あまり見えていないようです。
でも、これがウイグル式のブルカらしかったです。
バザールでの買い物に大満足した後、色満ホテルに戻り、その晩はホテル内で催された「ウイグル・ダンスの夕べ」を見学(30元)。
一応、ステージと観客席のある劇場で、このホテルに泊まっているらしい団体客が見に来ていました。
踊り手4人、歌手2人、楽器演奏者が3人、さらに歌って演奏する人が3人のパフォーマンス。
女性の踊りは柔らかい手の動きが主。
男性は衣装も動きもコサックっぽかったです。
メロディーは中近東風で、リズムの調子が良くて乗りやすい音楽です。
特にタンバリン風の打楽器に目が留まりました。
とても薄く、表面に蛇の皮のようなのが貼ってあり、下の方を支えながら、指の腹で打ちます。
一連のダンスが終わった後、例によって最後に「みんなで踊りましょう」があり、ダンサーの一人が私の所へ来て、優雅に誘うので、旅の恥は搔き捨てとばかりに、ステージに上って彼がするようにして踊りました。
ちょっとだけでしたが、何だか楽しいひと時でした。