【2023年6月】子供の頃学んだ名前は、頭の隅のどこかに残っているもので、詩人のボッカチオもその一人。
私達が滞在したイタリアのトスカーナ地方のチェルタルドは、このボッカチオが暮らして亡くなった町です。
Palazzo Pretorioから、その名もジョヴァンニ・ボッカチオ 通りを下ると右側に、Chiesa dei Santi Jacopo e Filippo という長い名前の教会があるのですが、ボッカチオはこの教会に眠っています。
教会自体は簡素ですが、床にボッカチオの白い墓石がはめこまれていました。
ボッカチオから話がずれるのですが、この教会には、ベアタ・ジュリアという女性のミイラがあります。
案内板によると、この人は、ボッカチオと同時代の14世紀に生きた女性で、火事の中から子供を救ったことで人々からあがめられました。
でも、そういった世間のご機嫌とりがイヤで、教会脇の小部屋に死ぬまで30年間、引きこもったそうです。
その部屋も見学できました。
子供たちが彼女に食物を運び、部屋には、どこから持ってきたか不明の生花が溢れていたと言われているそうです。
そして、1367年1月のある日、教会の鐘が勝手に鳴り始め、彼女の死を知らせたのだとか。
聖人ではないようですが、地元の人にとっては大切な人らしかったです。
ボッカチオの方は世界的に有名ですから、彼が1375年に死を迎えた家が博物館になっています。
教会を見た後、そちらに行ってみました。
この家は第二次大戦中に爆撃されて壊滅的な状態になったそうですが、修復されて1957年から一般公開されているとのこと。
フィレンツェにあるというボッカチオの最古の肖像画の複製がありました。
この絵もそうですが、その他の肖像画からも、彼が何となく女性的な面持ちであったことが分かります。
上の階には図書室があって、もらったパンフレットによると、約3500冊の書物が収められているそうです。
ボッカチオといえば、「デカメロン」(どこかのサイトに「大きいメロンの意味ではない」と書いてあって笑いました)。
各国語のデカメロンがあり、日本語の文庫本もありました。
さわりだけでも読んでみたい気がします。
この家には塔があって、上って町を見渡すことができます。
先に見学したPalazzo Pretorioも見えます。
ここからのチェルタルド旧市街やその向こう側の牧歌的なトスカーナ地方の眺めも素敵でした。