【2018年5月】セルビアの首都、ベオグラードでは、まずガイドブックに載っていたレストラン「?」カファナに行きました。
カファナというのは伝統的な居酒屋のことです。
元来はコーヒーショップのことでしたが、トルコの支配が終わった後に酒類も出すようになり、居酒屋を意味するようになったのだそうです。
このレストランは、正教の大聖堂の真ん前にあり、その昔は「大聖堂の隣」という名前だったそうですが、ある時「このような居酒屋に大聖堂の名を掲げるのは不謹慎だ」と宗教の権威者が店主に「即刻、看板を下ろすように」と命じたとのこと。
店主は看板を下ろす代わりに、看板を大きな「?」で覆ったら、その名称が根付いてしまったとガイドブックに書いてありました。
市内でも数少ない19世紀の建物で、趣があります。
私達は前菜にハムとブレザオラの盛り合わせを頼んだのですが、見かけはイタリアで良くみる盛り合わせと同じでしたが、ハムもブレザオラも燻製でした。
私達は地元のワインを飲みましたが、これはきっとビールに合うのではないかと思います。
メインには二人用スペシャルの肉料理。
これは、ポーランドやドイツでよく見かけるソーセージやお肉を焼いたものの盛り合わせでした。
5種類ぐらいありましたが、ビーフとひき肉のソーセージが美味しかったです。
このひき肉のは、昔、ボスニアヘルツェゴビナで食べたチェバピだったと後で分かりました。
デザートのメニューに「ドライ・パイ」と書いてあったものがあったので、どんなものかとウエイターに尋ねたら、バクラヴァだと言います。
そして「トルコには何百年も支配されたからね。でもトルコ民族・文化は根付かなかった。ほら、僕は青い目だし」というようなことを言いました。
で、そのバクラヴァを頼んだら、知っているバクラヴァとはかなり違っていて、それほど甘くなく、もっとナッツがたくさん入っている感じ。
これはこれで美味しかったですけれど。
デザートワインはなかったので、地元の食後酒は、と言ったら、Lincura とウエイターが書いて教えてくれたお酒を持ってきました。
ものすごく強いお酒で、私には飲めませんでした。
ウエイターは「We are strong people 」と誇らしげでしたが。
このディナーは8560ディナール(約9300円)でした。
レストランを出たら、もう真っ暗。
歩行者天国は週末の夜を楽しむ人達で賑わっています。
閉まっている店の看板を見ると、世界中どこにでもあるチェーン店が殆どでしたが、加えて、本屋が多いのが目に付きました。
人々の服装は、夏服のせいか、全く違和感なし。
生演奏のあるバーが軒並みで、若い人たちが集っていました。
路面店はおしゃれな内装ですが、ちょっと見上げるとちぐはぐな、おそらくチトー時代の建物。
バーの一つで、薄めのスプリッツを飲みながら、この先10年、ロンドンやミラノはそれほど変わらないだろうけれど、ここはきっとずいぶん違った町になっているのだろうなあと思いました。
1980年にこの町を訪れた夫は、あまり覚えていないようでしたが、きっとここを歩いて、全く別の光景を見たのだろうと思います。