【2019年12月】大分県の由布院にある金鱗湖の縁をぐるっと歩きました。
この湖は湯気が立っているのが特徴で、神秘的な美しさがあります。
私達が乗った人力車の車伕さんによると、水温が30度以上の温泉が湧き水に混じっているので水温が高く、このため湯気が出ているのだそう。
「だから熱帯魚もいます」と言うので、「まさか!」と反応したのでしたが、ここに住む魚の一つはグッピーだと湖畔の立て看板に書いてありました。
知りませんでしたが、熱帯魚の一種であるグッピーは、金鱗湖に限らず、温泉街で見かけることができるのだそうです。
湖とは言うものの、周囲350メートルほどの池に毛が生えた程度の大きさ。
最深部は約2メートルなのだそうです。
立て看板によると、やはり、昔は池とみなされていて、「由布岳の麓にある池」という意味の「岳ん下ん池」と呼ばれていたとのこと。
大分県の儒教学者、毛利空桑が1884年、池の傍の露天風呂から水面を眺めていると魚が飛び跳ね、ウロコが夕陽に映えて金色に輝いたのだそうです。
それで「金鱗湖」と名付けたと伝えられているそうです。
確かに、湖の中を覗くと、魚がうようよいるのが見えます。
魚の数に劣らず、観光客もうようよ。
先ほど、神秘的な美しさ、と書きましたが、これは自撮りに励む観光客を除いて、という条件付きです。
はっきりは分かりませんが、日本人よりも中国人や韓国人の方が多かったような印象です。
実は、私がここを訪れるのは二度目で、最初はウン十年前。
当時は条件なしに、ひそやかな雰囲気が魅力的でした。
今回、金鱗湖から、土産物店やカフェなどが連なる商店街を通って駅に向かったのですが、その通りも年末のアメ横かと思うほど大勢の人。
隔世の感を禁じ得ないとはこのことです。
そういえば、駅まで送ってくれた宿のシャトルの運転手が「海外のお客はほとんど、アジア人。温泉に興味があるようで」と言っていました。
そして「けれど、彼らは温泉の入り方を知らない。入り方を示す張り紙を出しているのですが、それを守らない人が多いんですよ。素っ裸になっているところに入って行って教えるわけにもいかないしー」とぼやいていました。
ひなびた温泉街だったところに人気が出て嬉しい半面、国際化による苦労も絶えないようです。
私達は列車の時間まで間があったので、甘酒を飲んで一休み。
そして「ゆふ3号」という赤い特急で次の目的地、別府に向かいました。