【2021年12月】ポルトガルのシントラの町の真ん中にあるシントラ宮殿は、山の上のペーナ宮殿に勝るとも劣らないエキセントリックな宮殿でした。
例えば、入って割とすぐにある「白鳥の間」(表紙の写真)。
天井いっぱいに白鳥の絵が描かれているのです。
数えませんでしたが、ガイドブックによると、27羽いるそうです。
この部屋を美しい、と表現している記述も見かけますが、鳥が苦手な私は、ぞわっとしました。
さらに、その次には、「カササギの間」。
こちらも天井にカササギがたくさん。
こちらには言い伝えがあります。
14世紀末から15世紀初めの国王ジョアン1世が、女王の侍女の一人とキスしているところを女王に見つかりとがめられましたが、「罪のないキスだった」と主張しました。
けれど、国王のキスの噂は侍女の間で広まりました。
そこで国王が、おしゃべり好きのキャラクターとして知られるカササギの絵を侍女の数だけ天井に描かせたという話です。
このシントラ宮殿の歴史は、ポルトガルがイスラム教徒に支配されていた頃に始まるそうですが、今見られる姿のほとんどが、このジョアン1世の時代のものだそうです。
ペーナ宮殿は割と新しめ(19世紀)で、アーティスティックだったというフェルナンド2世の作品だというので、風変りなのもうなずけましたが、こちらは、15世紀から19世紀まで王家が住んでいたといいますから、これがポルトガル王家の趣味だったのでしょう。
ゴシック様式、ポルトガルらしいマヌエル様式、イスラム調装飾、アズレージョがこれでもか、と混在している宮殿です。
スペインのグラナダにあるアルハンブラを思い出させる「紋章の間」というのもあります。
こういったイスラム風のこういうごてごてした装飾は嫌いじゃありませんが、住むのはどうかな・・・。
美しい礼拝堂もありました。
これは、ジョアン1世以前のもののようです。
薄いピンクを基調とした色合いで、ソフトなイメージでしたが、よーく見ると、壁一面に描かれているのは、やはり鳥でした。
古そうなアズレージョがふんだんに施されている「水の洞窟」という部屋も見もの。
幾何学模様のタイルが壁を覆っている落ち着いた雰囲気の部屋もありましたけれど。
外から見て目立つ円錐形の二つの塔は、キッチンの煙突でした。
観光客で溢れていたペーナ宮殿に比べ、どういうわけか、こちらは閑散としていて、ゆっくりと見て回れ、おかげで強い印象が残っています。
今回のシントラは以上でおしまい。
夫の腰の負傷もあり、坂の多い町を歩くのはやめ、再度、434番のバスに乗って駅に戻ってリスボンに帰ってきました。