【1996年9月】中国の蘭州から長時間の列車の旅の挙句に辿り着いた柳園からは、ミニバスに2時間余り揺られ、落ち着いたのは敦煌の飛天賓館の一泊180元(当時、1元=約13円)の部屋です。
トイレの水が床に流れ出たりしていて、「中国らしい」部屋でした。
敦煌は皆が訪れる観光地なので、外国人向けのカフェもあり、朝食は宿の敷地内にあるJohn’s Cafe で、久しぶりにコーヒーらしいコーヒーにありつけました。
食べ物については、洋食と似て非なる物ではありましたが。
この日はまず、中国国際旅行社(CITS)で、これから先の旅をアレンジ。
飛行機の便が少ないことがわかり、さらに列車で進むことにして予約したところ、席が取れるかどうかわかるのは翌日とのことで、出直すことになりました。
その後、ここでも充実している市場を散策。
蘭州と異なり、ここの売り手のおばさんはスカーフを被っている人が多いのが目に付きます。
麦藁帽子を5元で購入した後、この帽子に紐を付けるため、靴修理屋で靴ひもを買ったら、本格的に帽子に穴をあけ、鋲を打ってくれました。
蘭州の靴修理屋といい、こんなに手際よく手作業をする国民なのに、どうしてホテルの造りが乱雑なのか疑問です。
一つの答として考えられるのは、建物を人力で壊すから、壊しやすいようにいい加減に作っているのかもしれないということです。
人々がハンマーを振り回して、建物を壊している様子を何度も見かけました。
町の通りで、「男人的世界」と漢字で書いてある店があり、何かいやらしい物を想像したのでしたが、単なる紳士服屋のようでした。
その通りで、鳴沙山行きのミニバスをつかまえました(往復で10元)。
鳴沙山は町からほど近く、15分ぐらいの道のりです。
通りの先に大きな砂山が見えだしました。
これは圧巻。
巨大な砂の山々の景色は、まさに「アラビアのロレンス」や「月の砂漠」のイメージです。
ちゃっかり、ラクダが多数控えていて、山を越えて月牙泉へ行って帰ってくるルートが70元だといいます。
ちょっと高いとは思ったのですが、ここに二度と来ることはないだろうと思い、乗ることにしました。
ラクダは乗り心地の良い動物ではありません。
かなり高い位置から周りを見渡せるのは良いのですが、何しろ揺れが激しく、お尻や脚、ついでに力を入れて手綱代わりの手すりを握っていた腕が痛くなりました。
スーツを砂まみれにした服を着たおじさんが、ラクダを引いてくれ、山を上っては下り・・・。
高い所からの眺めは言語を絶する素晴らしさです。
中国の地形は本当に驚きの連続です。
月牙泉は思ったより小さく、ちょっと期待外れでしたけれど。
私達がラクダに乗ったのは午後5時半ぐらいでしたが、その後、どんどん観光客が増えました。
日本人の年配者の団体も数組。
日本人は一般に、中国人より小柄で、こういった土地の中で見ると、何だか危なっかしげに見えました。
8時半に行きのミニバスが迎えに来てくれて町に戻りました。