【2022年4月】ブルガリア南西部の村、メルニックは、昔も今もワインの産地として知られたところです。
村に並ぶ伝統的な家屋の多くにワインセラーがあるようで、私達が泊まった宿、Hotel Slavova Krepost もその一つ。
希望者にはワインセラーを見せてくれるということだったので、夕方、英語を話す青年、アントワンに頼んで見せてもらいました。
彼によると、この建物をホテルにする以前に、家族に伝わる文献で、オスマントルコが倉庫として使っていた地下道があるらしいと分かり、家族が手作業で、掘ったのだそうです。
通気口があって、洞内を乾燥した状態に保てるほか、砂岩に混ざった粘土質の層のおかげで、洞が支えられているという話でした。
一部しか公開していませんが、地下道は、ピラミッドと呼ばれている砂岩の山のずっと奥まで続くのだとか。
コウモリがいました。
彼らは、Shiroka Melnishka Loza というこの土地独特のブドウを使ったワインを製造していて、赤と白を少しずつ試飲させてくれました。
赤が少し甘くて美味しかったです。
白はマスカットとの混合で、まあ、普通のマスカット味だったかな。
ワインをペットボトルに入れて売ってはいるようでしたが、まだビジネスにはなっていない様子。
実際、村を歩くと、ペットボトルに入れたワインがあちらこちらで売られているのが見られました。
ペットボトルだと、すぐに酢になるので、空気抜きのために、容器をつぶして保管するのだそうです。
ガイドブックによると、英国のウィンストン・チャーチル元首相が特にメルニックのワインを気に入っていたため、毎年、英国に送っていたというワイナリーがあるのだとか。
この日の午後の村歩きの際に立ち寄ったMitko Manolev Wineryで、一人3レフ(約210円)払って試飲したワインも、 Shiroka Melnishka Lozaを使ったワインでした。
ここには洞穴の中に赤いテーブルかけのあるテーブルが並んでいて、雰囲気満点でした。
ところで、ホテルのワインを試飲しながら、アントワンにワインについて尋ねていたのですが、話がだんだんそれて、彼の身の上話風に。
彼は防衛大学を卒業したばかりで、先々、修士号も取りたい意向。
同時に、双子の兄弟と母親と3人で、ホテルとワインのビジネスを発展させたいという話でした。
父親は何年か前に亡くなったそうです。
アントワンによると、ブルガリアの若者の中には、英国やオランダ、ドイツに出て行く人も多いそうですが、文化が違うのでブルガリア人の肌には合わないと彼は主張。
また、母親と一緒に働くことで、マザコン扱いされることも多いのだそうですが、学ぶことは大きいと力説していました。
このやり手のお母さん、英語は話しませんが、少しイタリア語を話します。
というのも、妹がイタリアのルッカに20年住んでいて、よく行っていたからだそうです。
美しい満月(に見えましたがちょっと欠けてたかも)の下で、夫とイタリア語で話していました。