【1996年9月】別世界だった中国・甘粛省の夏河から蘭州に戻ってきて泊まったのは、1泊140元(当時1元=約13円)
の迎賓飯店でした。
その日は観光らしいことをせず、丸一日、蘭州で過ごしました。
まずデパートを目指して定西南路という通りを歩きます。
この通りは地元民のための市場になっていて、衣類から、あらゆる食料まで出店が並んでいます。
数日前に行った農民巷以上に凄みがありました。
目指したデパートに入ったら、薄暗くて閑散。
一般に想像する共産主義国のデパートらしい佇まいでした。
これに対して、外の露店の活気には目を見張るものがありました。
写真を撮りながら、この通りを進むと、途中で靴を修理している女性を発見。
ちょうどブーツが破れてきていたので、直してもらいました。
いろいろな道具を駆使して手際よく働きます。
似た色の皮の切れ端をちゃんと持っていたので、きれいに修理できました。
たった2元で、申し訳なく感じたほど。
市場は雑然としているようで、一応、売り物のアイテムごとにかたまって並んでいます。
生きた魚が小さい水槽にぎっしりつまっているのを見ました。
逆さになってあえいでいる魚もいます。
香辛料の山積みもスゴイし、トマトの形をしたナスなど、見たことのない野菜も。
私が何よりうれしかったのは、毛糸の露店。
細さや質にグレードがあるらしく、500gの毛糸が25元、19元、17元とありました。
筆談をまじえて、濃い茶色の毛糸を750g買いました(25.5元)。
夏河でチベット民族の人々が来ていた上着のようなカーディガンを編もうと思います。
露店のおばさん達の中には、店番をしながら編んでいる人がたくさんいます。
輪編みをしている人が多いようで、けっこう複雑なアラン模様を何も見ずに編んでいました。
そういえば、前日のバスの中では、むさくるしい男性がとても良い感じの手編みのセーターを着ていました。
こういうのは既製品ではなく、家族の手作りなのでしょう。
市場に満足した後、買った毛糸など旅に不必要な物を送ることにして、郵便局へ行きました。
段ボールを16元で購入すると、お姉さんがいろいろな道具を使って上手にパッキングしてくれました。
この手作業は無料だったのですが、小包の窓口に行って仰天。
フォームに記入して待っていたのですが、出てきた金額が、何と、362.1元!
高いホテルより高いお値段です。
ここで引き下がるわけにいかず、支払いましたけど。
気を取り直して、豪華な金城賓館のロビーでオレンジジュースを飲んで一休み。
異国情緒あふれる旅が長くなると、たまにはこういった所で馴染みにのある物を飲食する時間も貴重です。
このホテルの前には立派な大型車(なぜか中国ではあずき色の車が多し)が停まっていましたが、その向こうの通りでは、生きた鶏が何百羽も詰まったトラックや、屋根に本体と同じぐらい荷物を積み上げたバスが走っていました。
それから、目に付いたちょっと小ぎれいなレストランに入ってみました。
入ってみてわかったのですが、ここは鍋専門店。
バイキング形式で、好きな具を好きなだけ取って、大きな洗面器のようなのにショウガや油などが入った湯に入れ、ごま油らしいタレに付けて食べます。
具のチョイスには、生きた小魚やエビなどもあって、ぎょっとしましたが、選んで食べた物は美味しかったし、楽しいひと時でした。
一人36元と安くはありませんでしたが。