【2018年9月】翌日は、ウクライナ西部のリヴィウから南下し、カルパチア山脈の自然の中で一日を過ごしました。
幸い、良い天気。
我々夫婦と友達のアリーナに彼女の親友が加わり、この地方専門のガイド兼運転手のアレクサンダーの車に乗り込みました。
最初に行ったのは、トゥスタン城塞跡(英語表記ではTustanとありましたが、現地ではトゥスタニと発音するのかも)。
数年前に行ったドイツのバスタイを思い出させるような岩がにょきにょきっと出ている所で、9~14世紀にはこの岩を利用した要塞だったそうです。
その想像図が描かれた看板が立っていました。
木造の構造は残っていませんが、4000にも及ぶ穴や切れ目が残っているとのことです。
この辺りには、こういった岩場が7か所あるそうです。
というのも、ある時、村の魔女が、町の見目の良い男の兄弟7人に自分の7人の娘たちを嫁がせようと、彼らを歓待したといいます。
宴の最後に娘たちを紹介し、ひるむ男性陣に魔女が「結婚するか、もしくは岩になるか」と迫ったところ、男たちは岩になることを選んだのだそうです。
というわけで、7か所に岩が出ているのでした。
いつだったか、スコットランドで、山になった娘たちの話を聞いたのを思い出しました。
この城塞跡は、ウエディングの写真撮影や、子供達の修学旅行で賑わっていました。
ついでに、アレクサンダーが、この付近で湧いて出ている水が目に良いというので、皆、順番に顔を洗いました。
次はランチ。
「スヴャトスラフ」という名前のモーテルのレストランでシンプルな豚肉のステーキを食べました。
田舎の若い娘がウエイトレスで、経験が浅いようで、気が利かなかったのは難ですが、辺りにさわやかな川が流れていて、気持ちの良い場所でした。
食後には、ヴィソーキ―・ヴェルフという1241メートルの山にリフトで登りました。
このリフトが片道40分ほどもかかる長いもので、2800メートルもあるそうです。
雄大さでは7月に行ったコーカサス山脈には及びませんが、ちょうど秋色に色づいた木々が青空に映えて爽快でした。
トゥスタンもそうでしたが、この山の頂上にもバーベキューの出店が出ていて、人々がピクニックを楽しんでいました。
ここでアレクサンダーから聞いた話。
第二次大戦中、この辺りの人々がソ連軍に、「金を払うなら、ドイツ兵を殺すよ」と契約。
一人につき、15コペイカという約束でしたが、戦いの後、あまりに死体が多かったので、ソ連軍が値段交渉に入ったとか。
「一人10コペイカに下げてくれ」と言われた地元民、「そうはいかん、ベロロシア人から10コペイカで買ったんだから、利益が出ない」と言ったそうな。
アレクサンダーによると、この山では、幻覚作用を起こすマジックマッシュルームが採れるそうです。
この日の最後は、カミアンカの滝。
春には水量が多くて見甲斐があるそうですが、秋のこの日は大したことありませんでした。
おまけですが、リヴィウに戻ってジョージア料理の夕食後、カフェで久しぶりに水タバコを吸いました。
アリーナによると、トルコ人労働者が持ち込んで、地元の若者の間で広まったのだそうです。
どの店にも水タバコが置いてあるようでした。
私は昔々、イランで吸って以来だったと思います。
そうしているうちに、あんなにいいお天気だったのに、雨が降り出しました。
後で聞いたら、リヴィウは国中でも雨の多い町として知られているそうで、こんなに良いお天気は珍しいということでした。