【2021年12月】ポルトガルのアレンテージョ地方の町、エヴォラに行った日は、これまでの中でも一番、天気が悪い日でした。
エヴォラの駅に着いて、タクシーに乗ろうと思っていたのですが、一台もいません。
それで、携帯の地図に頼って歩くことに。
携帯の情報によると、確か、17分の距離だったと思います。
かなりの土砂降りの中、黙々と歩きました。
目的地は骨のチャペルです。
エヴォラの骨のチャペルは、聖フランシスコ教会(Igreja De Sao Francisco) に付随しています。
教会自体は1510年前後に作られたものですが、骨のチャペルは17世紀前半のものだそうで、ポルトガルでは最古だとのこと。
ツーリストは皆、教会本体ではなく、この骨のチャペルがお目当てで、入口も別になっています。
こんな雨の日でしたが、かなり続々と観光客が入っていました。
入場料は1人€5(670円ほど)。
入ってみたら、思っていたよりずっと明るくて、整然としたチャペルでした。
模様付のきれいな天井があったせいでしょうか、全くおどろおどろしさはありません。
骨自体には近寄れないようになっていましたし。
ただ、入口のところに「我々骨は、あなたの骨を待っています」というような意味の言葉が書いてあるというのがなんですが。
チャペル内にあった案内板によると、ここは煉獄にいる魂にささげて作られたものだそうです。
煉獄というのは、人が死亡してから天国に行くまでの中間地点で、地獄には落ちなかったけれど、天国にも行けない人々がうようよいると考えられている所だとか。
また、別の案内板には、19世紀の修道院長、Antonio Ascensao Teles という人が残した言葉が書いてあり、要約すると:「旅人よ、そんなに急いでどこへ行くのか。幾多の人がこの世を通り抜けて行ったか、そしてあなたも同様の終末を迎えるのだということを考えてみなさい。ここに来たなら、立ち止まりなさい。立ち止まって考えれば考えるほど、あなたは進歩するのです」。
確かに、ちょっとばかり考えさせられますね。
ガイドブックによると、ここにある骨は、およそ5000人の普通の人々のもので、フランシスコ会の修道士によってきれいにアレンジされたのだそうです。
奥にはガラスケースの中にミイラあり、これについては諸説あるようです。
もともとは壁にぶら下がっていたものらしいです。
このチャペルの上の階は博物館になっていて、聖像などが展示されていました。
聖フランシスコ教会の本体は、ちょうどミサの最中だったので、脇のドアから様子を盗み撮りしただけで、中に入ることはできませんでした。
今回の目的を達成して振り返ってみると、これまで見てきた骨のチャペルの中で、一番、怖さを感じたのは、最初に見たポルトガル南部のファロでのものだったように思います。
最初だったということもありますが、教会の庭先のような場所にあり、何か見放されているようなイメージだったからです。
すぐ隣に幼稚園があったのも、シュールでした。
エヴォラのはそれに比べると、しっかり手が入れられて管理されている様子で、小ぎれいなアート空間のような印象が残りました。